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岡野工業のよもやま話~“変遷”~

皆さんこんにちは。

岡野工業、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~“変遷”~

 

1|安全インフラを“管”で支える

  • 消火配管:火災時に「確実に水(または消火薬剤)が届く」ことが使命。

  • エアー配管:生産設備・工具へ「必要圧力と清浄度の空気を安定供給」するのが使命。
    どちらも“見えないインフラ”ですが、止めない・漏らさない・劣化させないための技術が積み重なってきました。


2|〜1980年代:素材・接合の基礎を固める時代 ⛏️

  • 素材:黒鋼管(SGP)・配管用炭素鋼鋼管(STPG)、銅管、亜鉛めっき鋼管が主流。

  • 接合:ねじ込み・フランジ・溶接が中心。消火配管は常時満水の湿式が基本。

  • エアー系:レシプロ/スクリューコンプレッサ+直線幹線+ドロップという素朴な配管。

  • 課題:腐食・スケール・“ねじ部”からの漏れ、圧損の大きさ、保全性の不足。


3|1990年代:標準化と耐震・品質の時代 📐

  • 法規・基準の整備(消防・建築・JIS等)で、設計→施工→検査が体系化。

  • グルーブ継手(機械式継手)の普及で大口径の工期短縮・溶接火気リスク低減

  • アラーム弁・流量検知・ゾーニングが一般化し、誤作動・水撃対策の議論が進む。

  • エアー品質:プレフィルタ→ドライヤ→ミクロミストの3段ろ過が定番化。

  • 配管設計:リング(ループ)配管の採用で圧力降下の平準化を図る。


4|2000年代:プレハブ化・省エネ・清浄度管理の高度化 🏭

  • 工場プレハブ化:ユニット化・スプール化で現場溶接削減/品質の均一化

  • 耐食素材の拡大:ステンレス(SUS)、耐食鋼板、内面コーティング管の導入。

  • ドレン管理:自動ドレン捕集・油水分離で配管腐食とエア汚染の抑制

  • 省エネインバータ(VSD)コンプレッサ、エア漏れ点検、配管径最適化で圧損×電力を同時に削減。

  • クリーン志向:食品・医薬でオイルフリー+ISO 8573準拠が当たり前に。


5|2010年代:耐震・BCP、デジタルの導入 📡

  • 耐震支持・可とう継手の普及:吊り金具・ブレース・スライドハンガで地震時の座屈や落下を回避

  • 水ミスト・ガス系等の多様化(用途に応じた最適消火方式の選定)。

  • BIM/CIM:干渉チェック・重量計算・支持金具の位置決めを3Dで事前検証

  • 予防保全:データロガ・差圧監視で漏れ/詰まり/圧力降下の早期発見

  • 安全文化:ホットワーク管理、狭所・高所のリスクアセスメントが標準運用に。


6|2020年代:カーボン・省施工・遠隔監視の時代 🌱

  • 省施工:ねじレス・プレス継手・グルーブで配管スピード×安全性を両立。

  • 非破壊検査・ドローン点検:高天井・天井裏の点検を省力化

  • IoT常時監視:消火配管の圧力・水位・弁状態、エアーの流量・漏えい率・露点をダッシュボードで可視化。

  • 熱回収・再エネ連携:コンプレッサ排熱の給湯/空調利用でエネルギー再利用

  • LCC提案:初期費用だけでなく10〜20年の維持コストで比較するのが主流に。


7|“消火配管”の要点進化(現場の勘所)🧯

  • 方式:湿式→乾式・予作動・二重作動・ミスト・ガス等へ現場適合

  • 腐食対策:乾式区画の酸素管理・窒素置換、内面コート、デッドレッグ削減

  • 水撃・誤作動:立ち上がり緩和、エアベント、感知・弁のフェイルセーフ設計。

  • 検査:耐圧・通水・フラッシング、アラーム作動試験、竣工台帳の充実


8|“エアー配管”の要点進化(現場の勘所)💨

  • 品質:ISO 8573で粒子・水分・油分のクラス管理。露点監視で結露を抑止。

  • 圧損リング幹線+ドロップにサブ配管を短く。曲げ・継手の最小化で圧力を守る。

  • ドレン落とし脚(ドロップレッグ)+最低部のドレン弁で水溜まりをゼロに。

  • 漏えい:夜間ベース流量で漏えい率を推定→修繕。配管更新時は継手数を削減

  • 素材選定:油分・洗浄度・温度・圧力でSUS/銅/アルミモジュラー/高耐圧樹脂を使い分け。


9|“設計思想”の変遷:図面から運用へ 🧭

昔:図面通りに敷く
今:運用まで設計する(点検動線、弁のアクセス性、将来増設のポート、センサー配置、LCC)

  • フェールセーフ:停止時の影響範囲を最小に(系統分割・バイパス)。

  • 見える化:系統図・バルブリスト・計装点表を現場掲示

  • 更新性:プレハブ化・標準スプールで更新工期を短縮


10|現場品質のチェックリスト ✅

共通

  • 取合い・スリーブ:貫通部の防火措置/耐火区画貫通処理

  • 支持・耐震:吊りピッチ・ブレース角度・スライド余長

  • 圧力試験:消火=耐圧・通水、エア=耐圧・気密・せん断振動

  • 洗浄:フラッシング(消火)、ブロー(エア)

  • 図書:竣工図・写真台帳・弁リスト・点検計画書

消火

  • 末端試験弁での流量・警報確認、感知・弁連動の試験記録

  • 乾式のエア圧・監視設定、配管勾配の水抜き性

エア

  • 露点・油分・粒子の受入検査

  • ドレン自動排出の動作、戻り配管の有無(回収方式)


11|KPI(小〜中規模の工事会社向け)📊

  • 工期遵守率/手直し率/写真台帳提出率

  • 漏えい率(エア)=夜間ベース流量÷定格流量

  • 圧損(幹線末端のΔP)/末端流量の偏差

  • 保守呼出件数/年/緊急出動の平均初動時間

  • LCC提示率(見積に維持費の試算を添付した割合)


12|“価格競争”を避ける差別化ポイント 🧭

  1. ねじレス・プレハブ比率を示し、工期短縮×品質安定を数値化。

  2. BIM干渉チェック画像支持金具表を見積段階で添付。

  3. LCC(10年):漏えい率1%改善=電力○円/年削減、ポンプ/コンプレッサ稼働時間の低減を試算。

  4. 可視化パック:竣工後は圧力・露点・弁状態ダッシュボード+定期点検をセット販売。

  5. **将来増設の“空ポート”**を最初から提案(停止時間を短縮)。


13|短編エピソード(100秒ストーリー)📘

食品工場のライン増設でエア圧が不安定に。
現場調査で直列幹線の末端圧損がボトルネックと判明。
リング化+径アップ+曲げ削減でΔPを半減、夜間の漏えい修繕でコンプレッサの負荷も−12%。

稼働音が静かになり、品質クレームもゼロに。
“管の見直し”が工場の歩留まりを救いました。


14|これからの10年:スマート&サステナブルへ 🚀

  • スマート監視×予兆保全:微小流量の異常検知、弁固着・腐食の早期発見。

  • 水ミスト最適化:超早期放水・被害最小のバランス設計。

  • 脱炭素:排熱回収・最適圧制御・リークゼロ運動の標準化。

  • 人材育成:現場は**“干渉を避け、圧損を抑え、保守を楽にする”**思考を学ぶ時代へ。


まとめ ✨

消火・エアー配管工事は、
素材×接合×耐震×清浄度×デジタルの進化で、
「図面どおり敷く」から「運用まで設計する」仕事に。

今日できる一歩は――

  • 1系統だけでもリング化と継手削減を検討、

  • 竣工図に弁・計装点の座標リストを付ける、

  • 漏えい率・露点・終端圧の月次グラフを貼り出す。

小さな改善が止まらない設備・止めない工場・確実な消火をつくります🧯💨💡

 


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